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番組HPより)
写真家・星野道夫さん。なぜ、30年近い時を経た今もその作品や文章は私たちの心を捉え続けるのか。取材班は春から夏のアラスカに入り星野さんの世界に迫った。
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アラスカで、写真家の故・星野道夫さんが見たトナカイの大集結の撮影に挑んだ回です。
北極圏で野生動物を撮り続けた星野さんが、もっとも魅了されたのが、地元では「カリブー」と呼ばれる野生のトナカイだったそうです。
トナカイたちは、毎年1200キロもの距離を移動し、夏に大集結するということです。この星野さんが見た奇跡的な光景を撮影しようと、星野さんがきっかけで写真家になった大竹英洋さんが、6月、ブルックス山脈ふもとの原野でトナカイを待ち受けて撮影に挑みました。
トナカイたちの移動は、雪の影響で毎年ルートが変わるそうで、地元では「風とカリブーの予定は誰も知らない」という言い伝えられていて、大竹さんはトナカイが現れるのをひたすら待ち続けました。
そして幸運にも、丘の上に現れたトナカイの群れに出会うことができて神秘的でした。
それから7月、トナカイたちの大集結を捉えようと、小型飛行機で集まっている場所を探して、ついに発見。原野に10万頭以上が集結し、上空から見ると辺り一面がトナカイだらけで圧巻の光景でした。
じつはこの大集結は、ある小さな厄介者が引き起こしているということです。
その厄介者とは、7月にツンドラの大地で凍っていた氷が解け、無数の水たまりができることで発生する大量の「蚊」だそうです。
蚊の標的になるのがトナカイで、この蚊から逃れようとトナカイの大集団が生まれるそうで、意外な小さな生きものが引き起こしているトナカイたちの壮大な営みでした。