NHKあの人の本棚「角幡唯介(探検家・作家)」

- 映画・テレビ鑑賞
番組HPより)
冒険家・作家の角幡唯介さん。実はある本を読んだことがきっかけで冒険にでることに。冒険中も本をたくさん持ち歩き、嵐などで動けないときにむさぼり読むという。

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探検家で作家の角幡唯介さんが、自身の本棚を紹介した回です。

鎌倉の自宅の仕事部屋には、壁一面が本棚になっていて、何千冊という本が並んでいたり、積まれたりしていました。

古今東西の探検記を読んでいるのをはじめ、理屈っぽい本が好きだそうです。探検にもたくさん本を持っていくそうで、探検中、悪天候などの停滞中に読むそうです。

紹介された1冊には、哲学者ハイデガーの「存在と時間」があり、この本は、自分の探検のやり方に行き詰まりを感じた30代半ば、探検の概念を変えた哲学書だったそうです。

この本で、ハイデガーは「対話」の話をしているそうです。
対話は相手がいて成り立つもので、自分がこう言おうと思っても、相手の応対でどんどん変わっていくもの。相手という存在の中に自分が組み込まれて、その存在との関係性の中で、自分の行動がどんどん変わっていくものと、角幡さんは解釈されていました。

この考えは、グリーンランドのイヌイットの考えに似ているそうです。
自然の中で生きるということは、自分の意思で行動を決定できるのではなくて、さまざまな関係性の中で動かないと正しい行動にたどり着かない、というのがイヌイットの哲学だと考えられていました。

そうしたハイデガーとイヌイットの考えに影響を受け、「不確実性の中で生きる」という現在の旅のスタイルが生まれたそうです。

犬ぞりで狩猟しながら未知の場所に旅したり、GPSなどの機器は使わずに星や風景を見て進んだり、不確実性を求めて探検を続けられていました。
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